看護師が介護事業所に応募しない理由
前々回のブログで看護師さんが辞めない介護事業所の話をしていて思い出
したので、今回は『看護師さんが介護事業所に応募しない理由』についてお
話ししたいと思います。
以前から何度もお話していますが、私はハローワークの『福祉人材コーナー』
というところで3年間、介護・看護・保育の業種のマッチング業務に携わってい
ました。
具体的な業務内容としては、窓口で、事業所からの相談や介護の求職者から
の相談を受けたり、面接会や見学会、介護体験セミナーなどのイベントを開催
していました。
窓口に看護師の方が相談に来られることも多く、その際に条件を確認すると、
・ 体力的にしんどくなってきたので、夜勤がないところ
・ 出来れば、9時~18時勤務のところ
を希望される方がほとんどで、具体的な勤務先としては
1位 企業の保健室
2位 町のクリニック又は日勤勤務だけの病院
3位 日勤も夜勤もある病院
というものでした。
3位の『日勤も夜勤もある病院』を希望される方は比較的若い方で、体力があ
る方が多く、そうじゃない方は、夜勤がなく日勤業務だけのところを希望されて
いました。
1位の『企業の保健室の求人』がハローワークに出ることは滅多になかったの
で「現実的には、町のクリニックか日勤勤務だけでもOKな病院ですね~」なん
てことを求職者の方と話しながら相談業務をしていました。
そこで、私は体力的にきつくもなく、9時~18時勤務が可能であるデイサービ
スや日勤だけの入所施設を提案するのですが、ことごとく断らてしまいました。
条件的には、希望にかなり近いにもかかわらず応募されないので、相談に来
る看護師の方に片っ端から理由を聞いてみたところ、以下のような回答でした。
・ 介護施設で看護師がどんな業務をするのか分からない
・ 介護施設では看護師も介護をさせられるのではないか?
・ 介護施設では看護師よりも介護職のほうが人数も多いし、立場的にも上
になるので働きづらい
・ 介護施設ではバイタル測定とちょっとした医療処置しかできないため、医
療の現場から離れてしまう。そうなると、次に医療現場(病院等)に戻れ
なくなるのではないか?(注射などは一度感覚を忘れると、感覚を思い出
すまで時間がかかるとのこと)
・ 介護施設では医師がいないので、利用者様や入居者様に何かあった時
に看護師である自分が責任を取らされるのではないか?
そこで、私は、看護師の方にも介護事業所に応募してもらえるように、求人票
の記載内容を、
・ 看護師が介護施設で行う業務を具体的に記載すること
・ 排せつ介助や入浴介助は基本的に介護職員が行い、看護師の方には
補助程度を行ってもらうこと
(看護師の方が介護業務については補助作業程度の施設の場合)
・ 介護職員と看護師が協力し合って業務を行っていること
・ もし利用者様が急変した場合などは、法人全体で対応を図るので看護師
の方の責任問題になることはないこと
・ 60歳以上の看護師さんでも大歓迎であること
・ 施設見学も大歓迎であること
というふうに、看護師の方の不安を解消する求人内容に変えて掲載したところ
、看護師の方からの反応がかなり良くなりました。
もし、いろんな取り組みをしてるにも関わらず、看護師の方の応募がないことに
悩んでおられる事業所様は一度求人内容を上記の内容に変更されてみては
いかがでしょうか?
(具体的な求人票の書き方については、また、後日、『人材募集』編でお話しし
たいと思います)
(資料)
公益財団法人 「平成29年度 介護労働実態調査結果について」
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h29_chousa_kekka.pdf